甘酒は 夏の飲み物ですよ !!
夏を乗り切る、昔ながらの知恵
甘酒は、もともと夏の飲み物でした

意外に思われるかもしれませんが、江戸時代の甘酒は夏に飲むものでした。俳句の世界では今でも「甘酒」は夏の言葉です。暑い盛りに甘酒売りが町を歩き、値段も安く抑えられていたという記録が残っています。
理由は栄養にあります。米麹で作った甘酒は、麹の力でお米のでんぷんがすでにブドウ糖にまで分解されているため、体に吸収されやすい形になっています。アミノ酸も豊富です。「飲む点滴」と呼ばれるのは、あながち大げさではありません。
ただし甘さが強いので、薄めて飲むのがおすすめです。塩をほんのひとつまみ加えると、水分の吸収がさらに良くなります。昔からそういう飲み方が伝わっているのも、理にかなっています。
なお、酒粕から作る甘酒とは別物です。麹の甘酒はアルコールを含みませんので、そちらをお選びください。冬の飲み物という印象が広まったのは、明治以降に初詣とむすびついてからのことです。
スイカに塩をかけるのも、理由があります
スイカは水分が9割以上で、カリウムも豊富です。汗をかいたときに足りなくなるもののうち、スイカに足りないのは塩分だけ。だから塩をかけると、ちょうど過不足のない組み合わせになります。
きゅうり、なす、トマト、冬瓜といった夏野菜も同じで、水分とカリウムを一緒にとることができます。暑いと食欲が落ちますから、食べながら水分がとれる食材には意味があります。
鰻、枝豆、そば ― ビタミンB1のはたらき
土用の丑の日に鰻を食べる習慣がありますが、これも栄養の面から説明がつきます。
汗をかくとビタミンB1が失われます。B1が不足すると、だるさや食欲不振が出てきます。江戸時代には白いお米ばかり食べていたために脚気が流行し、「江戸患い」と呼ばれていました。夏に悪化しやすい病気でした。
夏によく食べられていたものには、このB1が多く含まれています。
| 食品 | 特徴 |
|---|---|
| 鰻 | 他の魚の3〜5倍 |
| 枝豆・そら豆 | 夏が旬 |
| そば | 白米の約4倍 |
| ぬか漬け | 生野菜の約10倍 |
そばを食べたあとに「そば湯」を飲む習慣がありますが、B1は水に溶けるので、ゆで汁に出ています。飲んだほうが無駄になりません。
ぬか漬けは、精米のときに捨ててしまうお米の栄養を、野菜にうつして取り戻す仕組みだと考えると分かりやすいと思います。
さらに、ねぎ・にんにく・にらと一緒に食べると、B1の吸収が良くなることが分かっています。「鰻に山椒」「そばにねぎ」といった昔からの組み合わせも、この点で合っています。
おかゆと梅干し
体調を崩したときの定番ですが、これも根拠のある組み合わせです。
お米のでんぷんはゆっくり消化されるため、胃腸に負担をかけずに水分と一緒に吸収されます。実際、お米を使った水分補給の方法は、後の時代に医学的にも効果が確かめられています。
ただし注意点があります。昔ながらの梅干しは1個で塩分が2グラム前後あり、かなりしょっぱいものです。おかゆと梅干しだけでは水分が足りませんので、麦茶などを別に飲んでください。夏に麦茶を添える食べ方は、ちょうどよい組み合わせになっています。
味噌汁、ぬか漬け ― 発酵食品
味噌には塩分とアミノ酸が両方入っています。ぬか漬けには、塩分・カリウム・ビタミンB1・乳酸が一度に含まれます。
宮崎や埼玉に伝わる「冷や汁」は、味噌の塩分、ごまと魚の栄養、きゅうりのカリウムがそろった、よくできた夏の食べ物です。
のどごしの良いもの
ところてん、寒天、冷やしたゼリー。栄養が特別に豊富なわけではありませんが、暑くて食欲がないときでも口に入ります。「量が入る」ということ自体に価値があります。
食べられないときは、食べやすいものから。これは今の医療でも同じ考え方です。

まとめ
昔の人は理屈を知らないまま、経験のなかから良い組み合わせを見つけていました。
面白いのは、昔の暮らしでは**「涼をとること」と「栄養をとること」が分かれていなかった**ことです。冷たいものを口にする、その行為のなかに水分も塩分も栄養も入っていました。今は水分補給の飲み物、栄養の食事、と別々になっています。
- 甘酒は夏の飲み物、薄めて塩ひとつまみ
- スイカに塩は、足りないものを足す組み合わせ
- 鰻・枝豆・そばはビタミンB1
- そば湯は飲んだほうがよい
- おかゆと梅干しには、麦茶を添えて
- 食べられないときは、のどごしの良いものから
暑い時期は、水を飲むだけでなく、塩分と栄養も一緒にとることが大切です。食欲が落ちてきたと感じたら、遠慮なくご相談ください。

